今から思うと、先生のことをもっと知っている人なら、先生が自身で料理をする程に、オーガニック思考を持っていることを配慮して、決して添加物たっぷりのお茶漬けの素など持っていくことはなかっただろう・・・と、今は後悔すら感じる、そのお土産を手渡した。
先生は特に何も言わず、快くお土産を受け取ってくれたので、その時の我々は「受け取ってもらえた、良かった良かった」程度にしか考えていなかった。
hatao先生の自宅レッスンの部屋は、2階の部屋に用意されていた。
練習室は、事前に2人で来るという事を伝えていたため、二人分の椅子と、机と譜面台を並べて用意されてあった。
我々の椅子の前にはキーボードが置いてある机があり、そこが先生の席のようだった。
レッスンをしに来たというより、勉強しに来たという感じ |
かしこまった気持ちで部屋に入った瞬間、マウスキー達は部屋の中に一番に吸引力を持つ存在に気づいてしまったのである。
そう、その部屋にはウサギさんがいたのだ。
なんと、hatao先生はウサギさんを飼育していたのだ!
しかも、ちょうど席の真向かいにウサギさんがいるので、ふと顔を上げた時、ウサギさんが横のなったり、ご飯を食べたり、耳を毛づくろいしている姿を見る事が出来るのである。
そんな風にウサギさんに釘付けになっていた時、姉マウスキーが「最初に自己紹介をさせていただきます」と話を切り出した。
「先生は人に知られていますが、先生は私たちのことが何者か分からないと思いますので、最初にどういう人間なのかを紹介させてもらうのが良いかと思います」
確かに、それは一理ある。
hatao先生も大変人見知りのようだったので、「それは助かります」と言って、我々の自己紹介を促してくれた。
そのあとは、名前を名乗り、身元を明らかにする情報と、どういった経緯で先生のレッスンを受けたいと思ったのか等といった話を始めた。
「facebookですか? Twitterですか?」と、hatao先生は色んなSNSの名前を挙げたが、どれもこれもマウスキーとは縁遠いものの名前であった。
そもそも、ケルトの笛屋さんというホームページにたどりついたきっかけは、笛の会のために新しい楽譜をネットで探していた事が始まりだった。
とりあえず、テレマンとかないかなーと思い、テレマンの楽譜を探していた。
そんな時に、テレマンの有名な曲をティン・ホイッスルで演奏するhatao先生の動画と楽譜に辿り着いたのである。
──この奏法は、一体どういう仕組みになっているのだろう?
よく知っている曲が、全くよく分からない奏法で演奏されているのは、とても面白く感じたため、仕組みを知ろうと思い、楽譜や動画などを手当たり次第に調べる事になった。
しかし、今まで独学は慣れっこだったにも関わらず、アイリッシュ奏法という分野はさっぱり理解が出来なかった。
そこで、引きこもりで人見知りではあるものの、どうしても新しい奏法が知りたいという勢いでhatao先生のいち日集中レッスンに申し込んだ、それだけである。
とりあえず、hatao先生の自宅が、思ったよりもとりとり市に近かったために思い立ったとも言える。
とまぁ、こんな風な出会いについての事を言葉足らずな感じで簡略化しながらマウスキーはhatao先生に伝えた。
そして、何となく正体を明かし、何かしらの納得と安心感がその場に生まれた。
そこで、とうとう一日集中レッスンが始まる事になった。
一日集中レッスン──それは、普通は何度かレッスンに通って教えてもらう技術等を、滅多にレッスンに来れない人のために、一日集中して鬼のように詰め込むというものだ。
このレッスンが終わった暁には、精神と時の部屋から出たような、そんな短期間成長が見込まれるのではないだろうか。
それほどにまで、今思えば集中力の限界に挑んだ修行であった。
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