2020年4月18日土曜日

アイリッシュ入門の旅・4 〜正体を明らかにする

出迎えてくれたhatao先生に、我々は念入りに選んだ、とりとり市のお土産を渡した。

今から思うと、先生のことをもっと知っている人なら、先生が自身で料理をする程に、オーガニック思考を持っていることを配慮して、決して添加物たっぷりのお茶漬けの素など持っていくことはなかっただろう・・・と、今は後悔すら感じる、そのお土産を手渡した。

先生は特に何も言わず、快くお土産を受け取ってくれたので、その時の我々は「受け取ってもらえた、良かった良かった」程度にしか考えていなかった。

hatao先生の自宅レッスンの部屋は、2階の部屋に用意されていた。

練習室は、事前に2人で来るという事を伝えていたため、二人分の椅子と、机と譜面台を並べて用意されてあった。

我々の椅子の前にはキーボードが置いてある机があり、そこが先生の席のようだった。

レッスンをしに来たというより、勉強しに来たという感じ


かしこまった気持ちで部屋に入った瞬間、マウスキー達は部屋の中に一番に吸引力を持つ存在に気づいてしまったのである。

そう、その部屋にはウサギさんがいたのだ。

なんと、hatao先生はウサギさんを飼育していたのだ!

しかも、ちょうど席の真向かいにウサギさんがいるので、ふと顔を上げた時、ウサギさんが横のなったり、ご飯を食べたり、耳を毛づくろいしている姿を見る事が出来るのである。

そんな風にウサギさんに釘付けになっていた時、姉マウスキーが「最初に自己紹介をさせていただきます」と話を切り出した。
「先生は人に知られていますが、先生は私たちのことが何者か分からないと思いますので、最初にどういう人間なのかを紹介させてもらうのが良いかと思います」

確かに、それは一理ある。

hatao先生も大変人見知りのようだったので、「それは助かります」と言って、我々の自己紹介を促してくれた。

そのあとは、名前を名乗り、身元を明らかにする情報と、どういった経緯で先生のレッスンを受けたいと思ったのか等といった話を始めた。

「facebookですか? Twitterですか?」と、hatao先生は色んなSNSの名前を挙げたが、どれもこれもマウスキーとは縁遠いものの名前であった。

そもそも、ケルトの笛屋さんというホームページにたどりついたきっかけは、笛の会のために新しい楽譜をネットで探していた事が始まりだった。

とりあえず、テレマンとかないかなーと思い、テレマンの楽譜を探していた。

そんな時に、テレマンの有名な曲をティン・ホイッスルで演奏するhatao先生の動画と楽譜に辿り着いたのである。

──この奏法は、一体どういう仕組みになっているのだろう?

よく知っている曲が、全くよく分からない奏法で演奏されているのは、とても面白く感じたため、仕組みを知ろうと思い、楽譜や動画などを手当たり次第に調べる事になった。

しかし、今まで独学は慣れっこだったにも関わらず、アイリッシュ奏法という分野はさっぱり理解が出来なかった。

そこで、引きこもりで人見知りではあるものの、どうしても新しい奏法が知りたいという勢いでhatao先生のいち日集中レッスンに申し込んだ、それだけである。

とりあえず、hatao先生の自宅が、思ったよりもとりとり市に近かったために思い立ったとも言える。

とまぁ、こんな風な出会いについての事を言葉足らずな感じで簡略化しながらマウスキーはhatao先生に伝えた。

そして、何となく正体を明かし、何かしらの納得と安心感がその場に生まれた。

そこで、とうとう一日集中レッスンが始まる事になった。

一日集中レッスン──それは、普通は何度かレッスンに通って教えてもらう技術等を、滅多にレッスンに来れない人のために、一日集中して鬼のように詰め込むというものだ。

このレッスンが終わった暁には、精神と時の部屋から出たような、そんな短期間成長が見込まれるのではないだろうか。

それほどにまで、今思えば集中力の限界に挑んだ修行であった。



2019年3月13日水曜日

アイリッシュ入門の旅・3 〜目的地に辿り着けない

最初の段階でクタクタになりながらも、何とかコンビニまでたどり着く事が出来た。

そこで、姉マウスキーは早速、タクシーに電話をして迎えに来てもらう事にした。

ところがである─。

電話が通じなかったのだ。

どうやら、スマートフォンからではタクシーに連絡が出来ないシステムらしい。

結局、そんな些細な事で二の足を踏んでいるような時間はないので、姉マウスキーはコンビニの店員にタクシーを呼んでもらう事にした。

その問答だけでも、若干のタイムロスとなったが、まぁ、仕方がない。

連絡してから間もなく、タクシーは颯爽とやって来た。

やっとの事でhatao先生の住み処に辿り着く事が出来る─

マウスキー達はどっと安心して、タクシーの座席にもたれると、運転手のおじさんと会話などをしながら疲れを癒す事にした。

しかし、なかなか時間はマウスキー達を休ませてくれる気はないらしい。

足の疲れが言える間もなく、目的の駅に到着してしまったのだ。

歩き疲れたマウスキー達は車から降りて、ふと、ある事に気が付いた。

「謝礼金を用意していない」

姉マウスキーが最初に気が付いて、こう言った。

本当だ!!

何で気づかなかったのだろう!?

そこで、我々2人は、時間が許す限り、小さくてローカルな駅を走り回り、謝礼金を入れれそうな封筒を探す事にした。

マウスキーは最初、正直余裕だった。

文房具なんかが売ってある店とかで、封筒は買えるに違いない─そう思っていた。

しかし、現実は過酷であった。

本当にローカルな駅で、文房具を売る店なんて発想をする事自体が間違いだったのだ。

そんな中、姉マウスキーがコンビニで仕方なく手に取ったのは、何の変哲もない白封筒だ。

こうなれば白封筒が見つかっただけでも、奇跡に近かった・・・

そんなわけで、白封筒もゲットする事が出来たマウスキーズは、歩く気力もなく、タクシーに乗ってhatao先生の家まで行く事にした。

そして、タクシーに乗りながら、タクシーにして良かったと、何度も心の中で呟いた。

それもその筈、「これは直角なんですか」と、言いたくなるほど、坂が急で入り組んだ地形に先生の住み処はあったのである。

タクシーから降りると、マウスキー達は一見普通の民家である先生の家のベルを鳴らす事にとうとう成功したのだった。

そして、ベルを鳴らした後、hatao先生がすぐに玄関のドアを開けて、「どうぞ」と言って迎え入れてくれた。

hatao先生に対面出来たものの、そもそも人見知りのマウスキーは、「どうも初めまして、ではお邪魔します」と挨拶をしたっきり、会話の進行は姉マウスキーに委ねる事とした。

そして、笛のレッスンをする部屋へと先生に案内してもらい、とうとう最終目的地へと到着する事が出来たのだった。