2015年1月10日土曜日

映画「つぐない」の考察。

大分前の事だが、「つぐない」という映画を観た。ジェームズ・マカヴォイさんが出演されているので観ただけの理由なのだが・・・なかなかシリアスで重たい内容だった。

ざっくりとあらすじを紹介。

主人公はブリトニーという女の子。

ブリトニーには兄と姉がいる。

使用人の息子のジェームズ・マカヴォイ(役名を覚えてない)は、色々とブリトニー一家にお世話になっているらしく、ブリトニーの憧れの君でもある。


話が始まるのは、ブリトニーの兄が大学からチョコレート王という異名を持つ友人を連れて帰省するために実家に帰るところからだ。

ブリトニーは、兄のお帰りパーティのために戯曲を書く。

この戯曲を、その日にたまたま来ていた従姉と双子の従弟たちに演じてもらおうという事になる。

ところが、この計画は双子の従弟たちが演技が退屈だと言い、川に泳ぎに行ってしまった為におじゃんになってしまうのだ。

折角書き下ろした戯曲を兄のために発表出来なくなり、不愉快千万なブリトニー。

そんなブリトニーの背景では、彼女の姉と、ジェームズ・マカヴォイが大人の恋愛模様のあれこれを繰り広げていた。そして、それは喧嘩に発展してしまう。

ブリトニーの兄からお帰りパーティに招待されたジェームズ・マカヴォイは、喧嘩してしまったので謝罪の手紙を書く事にする。
練習用に卑猥な内容の手紙を書いてから、ちゃんとした謝罪分を書き、そして封筒に間違えて卑猥な手紙を入れてしまうという大失態を犯す。

しかし、その失態に気付かないままブリトニーに「言伝といて」と手渡してしまったのである。

大体1日面白くない感じで過ごしたブリトニーは手紙を受け取ると、好奇心に負けて中身を見てしまう。

女子中学生ぐらいの年齢に相当するブリトニーは、卑猥な文章を書くなんてジェームズ・マカヴォイは変態だったのだと確信。

手紙は一応ちゃんと姉に手渡すのだが、姉の方は卑猥な内容の手紙にハートをズキュンとされたらしく、あっという間にジェームズ・マカヴォイといい仲になり、夕飯前に書斎でエッチな事も色々するという急発展を遂げる。

運悪く、ブリトニーは2人の情事も目撃してしまい、「ジェームズ・マカヴォイが姉に痴漢行為をした」と誤解する。

お帰りパーティは特に問題がないまま進んでいたのだが、突然、双子の従弟が置手紙を残して家出したという報告が入る。

大変だ、大変だとばかりにぞろぞろ家族は女も子供も連れ立って捜索開始。

ブリトニーはその時、運悪く従姉が謎の男に暗闇でレイプされるところまでも目撃してしまい、「パーティの中で変態といえば、奴しかいない!」と断定。

彼女の証言で、ジェームズ・マカヴォイは強姦罪で逮捕。

ところがどっこい!

ジェームズ・マカヴォイは無実だったことが判明。

姉は腹を立てて家を出てしまう。

そして更に、どうも暗闇で従姉を襲ったのは、兄が連れて帰っていたチョコレート王だったという事も判明。

しかし時すでに遅し。

刑務所に入れられたジェームズ・マカヴォイは、刑務所から出るために軍隊に志願。

戦争に行き、死んでしまうのである。

姉も、結局戦争の最中に死んでしまう。


場面が変わって現代。

歳を取ったブリトニーは、「つぐない」という小説を書き、自分の死期も近いことをテレビで告白する。

こんな感じのあらすじだった。


特に誰が悪いというわけではないけれど、なんとなしに色々可哀想に・・・と思ってしまい、考えさせられる映画だった。

考えさせられ、考えさせられ、マウスキーはとりあえず、でも、何が悪かったんだろう・・・と、あえて考えてみた。

そこで、思わぬ真犯人を見つけ出してしまったのだ!!

これは、映画を観た人間にしかピンと来ないかもしれないが、この映画の諸悪の根源は、あの、途中で完全に忘れていた双子の従弟にあったのである。

あの双子の従弟が、そもそも、ブリトニーの戯曲を演じる約束を破らず、ちゃんとしていたらどうなっていたであろうか?

勿論、ブリトニーが卑猥な手紙を受け取る事もなかった筈だ。

もう一つ、夕飯の時に、双子の従弟が置手紙をして家出なんかしなかったらどうだろう。チョコレート王が暗闇に紛れて女の子を襲うという犯行におよぶ事がその時起こらなかったはずだ!

この映画の救いはそこにある! 

ブリトニーは悪くない。彼女が「つぐない」という小説を書き、胸を痛めるのはそもそもが間違っている。
本当につぐなわなければならないのは、そう、あの双子の従弟だからである。

奴等が迷惑をかけた皆の足元に膝をつき、謝罪をしなければ解決しないわけだ。

もはや、マウスキーはこの映画について「あの双子が悪い話だろ」として思えなくなったため、まともな感想を持てないほどだ。

確か、挙句に皆様に迷惑をかけて捜索させた後、奴等はジェームズ・マカヴォイに見つけ出され、「僕たち無邪気な子供だもん」という顔で、「眠いし、疲れちゃったよう」的な態度をとっていたのである。

何故、その場の人たちは奴等を張り倒さなかったのだ?・・・・

寧ろ、見出してはならなかった暗黒面を見つけてしまった気がするほどである。

この映画は、諸悪の根源である双子の従弟を追及せぬまま終わりを迎える。

原作を読んだとして、双子の従弟がその後如何なるものと大成するのか、それが判明するのか定かではないので、今のところ読む気もしない。

嫌いな映画というわけではないけれど、久しぶりにマウスキーをカンカンに怒らせてくれた映画だった。

まぁ、こうした怒りというのも、「感動した」という枠組みに入るのだと思えば、かなり感動する映画だと思う。

ある意味、この双子の存在に怒りを感じなくなった日、その時大人になるのではないだろうかと思うほど、奥深い内容だった。

※ちなみに、話の筋をちゃんと知りたい人は、インターネットを検索すれば正しく分かり易い筋があると思うので、そちらを参考にして下さい。