2013年4月7日日曜日

人の価値観

「あなた達は何も特別ではないんですよ」

こんな驚きの言葉をこの身に直に受けたのは、合唱の会の例会が終わった直後であった。

この言葉だけでは、まるでマウスキーが「すみません、マウスキー達の喉はデリケートなので、加湿器を今度から導入してください」とか、「ソロはマウスキー達ですよネ」とか、「この歌、ダッサ。他の曲にしてください。マウスキー達に歌って欲しかったら」とか、「発声練習は勘弁してください。個人でしたいので、マウスキー達の発声練習専用の個室を、団費で払っておいて下さい」と、ぬけぬけと言い放ったかのようだ。

まぁ、それなら分かる。
「貴方達は何も特別ではないんですよ!?」と言われても納得する。多分、マウスキーもそんな奴がいたら、そう叫ばずにはおれないだろう。

だが、事実は全く違う。

そもそも、こんな台詞を真っ向ぶつけ、マウスキーと、姉マウスキーと、友人Tomokoさんを可哀想なほどおったまげさせた人物は、あろうことにも合唱の会の団長だったのだ。
「おったまげる」を漢字で書くと、「魂が消える」となる。正に、団長に召集され、そんな台詞を受け、我等の魂は驚きのあまり、どこかに飛んで消え、再び肉体に戻ってきた、そんな衝撃を受けた。

結局、団長には15分間もその場に引き止められる悲惨な結果となったが、未だにマウスキー達の何が特別であったのかが分からないままである。

話し合いをしても分かり合えない、価値観の接点が一つもない人種というのは世の中に五万といるものだ。
何を一番に大事にするかにより、個人の価値観は定められている。人を大事にするか、規則を大事にするかにより、組織の雰囲気も変わる。

そう考察した時、マウスキー達が魂消たのは、この価値観の違いなのだと悟った。
団長は合唱の会に必要なのは、「コンプライアンスの確立」だとして、それを実行し、従わない者を罰していかなければならないと信じている人物なのだ。
現に、9時30分から始まる合唱の会に、如何なる用事があろうとも、それを遵守出来ないならば、役員会の会議で「マウスキー達を懲戒処分にするか、否か」を審査すると言われたほどだ。

そして、例の「いいですか、あなた達は特別ではないんですよ」という言葉だ。

だが、コンプライアンスを無視できるほど特別なものは、国単位に違いない。

そこで、マウスキー達に向かい、「いいですか、あなた達は特別ではないんですよ」という言葉が出たに違いない。
団長にとっての侵される事を決して許さない唯一無二の領域、それが合唱の会だったのだ。

うーん・・・マウスキー達が魂消たのも納得する。

国が、とりとり市にある数ある合唱団の中のひとつ、合唱の会なのだとすれば・・・そして、その合唱の会のコンプライアンスを侵した者としてマウスキー達を見ている事となり、寧ろ犯罪者扱いだ。
合唱の会が国なら、とりとり市が世界だ。日本が地球だ。世界は宇宙だ。

何ということだ・・・世界規模の合唱の会にいては、マウスキーが愛犬の看護で15分遅れても犯罪者となってしまう。仕事で手間取って1時間遅刻しても犯罪者だ。時間通りに行っても、犯罪者のノルマは消えない。最後には懲戒免職となる。

あの言葉に、これほどまで恐ろしい世界観が込められていたとは!!

マウスキーは、残念で涙を呑みながら、合唱の会に参加する事を辞退した。

しかし、いい経験をさせてもらった。地球上に生息している人間の数を考えれば、人間の価値観も沢山ある。
今度、再び「あなた達は特別ではないんですよ」と言われる事があったとしよう。
きっとマウスキーの魂は動揺する事もなく、「貴方にとっては、それが特別なんですね」と、一つ大きな世界観を抱いて見守る事が出来るであろうから(えっへん)。

2 件のコメント:

  1. こんにちは。本当に災難でしたね。
    私も全く同感です!!!

    あの団長が退任したら、復帰しましょーね★

    我らには、アスパラ歌の会がありますから、それをがんばりましょう。
    今日、編曲して下さった姉マウスキーさんと、楽譜について検討会をいたしました。素晴らしいものになりそうです。

    目下、我らの歌によって、あの団長をギャフンと言わせることが目標であります。

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    1. 全くですね。

      わたくしもアスパラ歌の会が楽しみです。
      ストレスなく頑張れると思います!
      楽譜の出来上がりも楽しみですね!

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