2018年9月30日日曜日

PLATFORM・2 ~ 最初の出勤日-part.1

出勤日初日である。

場所が大変分かりにくいという事と、最初は母マウスキーに声がかかっていた仕事なので、母マウスキーに仕事場まで連れて行ってもらった。

確かに、うっかりしていたら見落としてしまいそうな、建物の隙間にこじんまりと佇んでいる、という感じのお店であった。

定食やお弁当を売っているという風には見えない、喫茶店風な内装の店内であった。

早速、人見知りのマウスキーは、仕事場に行くと必ずやる、元気な挨拶というやつをした。

「今日から働かせていただく事になりました。マウスキーです。よろしくお願いします!」

ま、バイトの挨拶なんて、そんなものである。

とりあえず、その日店内にいた人物は、働かないかと声をかけてくれたDさん。




そして、お初目にかかる、Nさん。



そして、オーナーのMさん。



オーナーが若い女性とは想像していなかったため、正直言って、かなり警戒してしまった。

マウスキーは若い女性が大変苦手なのだ。

だが、仕事を始めれば、人間関係の事なんか二の次だろう。

そんなわけで、最初にお弁当を詰めるという仕事から教えてもらう事となった。

……なったのだが、その光景は想像していたよりも凄いものだった。

まず、Dさんが、カウンターの椅子に座りながら、「玉子焼きの数が一個足りんで」と言い出したのである。

「足りんだったら、大きい玉子焼きを二つに切ったらいいが」と、オーナーのMさん。

そんなわけで、カウンターの椅子に座りながら、Dさんは元々詰めてあった、大き目の玉子焼きを二つに切り分けはじめた。

まぁ、まぁ、確かに、平均年齢が60~70歳代という仕事場なのだし、ほっ○亭(マウスキーの最初のバイト先)のように、システム的な仕事をするわけはないだろう。

玉子焼き問題が解決した後は、お弁当と定食を詰めていく作業も順調に終わった。

一日に用意するものは、日替わり弁当を10個、定食を12食分だそうだ。

なんて楽な仕事場!

ほっ○亭なんて10個×10セットを作って用意するなんて、当然の事だったというのに!

しかし、気になるのは売上の方だ。

日替わり弁当は、500円。

日替わり定食は、600円。

どちらも税込みである。

計算してみると、500円×10個=5000円。600円×12個=7200円。

つまり、全部売り切れた場合の売り上げが12,200円という事である。

そこのお店は、NPO法人であるという事も聞いていたので、もしかすると、売り上げを出してはいけない取り決めでもあるのだろうか、そんな風に解釈した。

ところで、仕事が始まる前に、オーナーのMさんから注意を受けるというシーンもあった。

若い女の人なので、どんな仕事の説明なのか緊張して聞いていたところ、こういうことだった。

「スマホは持っててもいいですよ。ただし、12時から12時半はピークなので、その間は絶対にスマホをいじらないでください」

聞き間違いじゃないかと耳を疑った。

12時から12時半がピークって、ピークが30分しかない、という事と、スマホを持っていて、仕事中につっついても可能だという事、色々な事に驚きと衝撃を受けてしまった。

いや、想像以上にゆるい仕事場だ…と思っていた矢先である。

疲れたと言い出したDさん。

カウンターの椅子に腰かけて一休憩をはじめてしまった。



そして、スマホをつつき始めるDさん。

ちなみに、Nさんは午前中で帰ってしまったので、イマイチどういう方なのかは分からないままであった。

そして、迎えたピークだと聞いていた12時になった。

つづく。


2018年9月29日土曜日

PLATFORM・1 ~ 物事の発端

この一年という間、ブログの更新もなくなり、文章を書くという習慣もなくなってしまっていた。

実は、その一年の間に、マウスキーの人生を大きく変える出来事が起こっていたのである。

全ての始まりは、何気ない所から始まった。

母マウスキーが、知人のDさんという方からバイトの誘いを受けたのである。

何でも、Dさんがしている「Platform」というお店に、一日だけ彼女の代わりに出てくれないか、という話であった。

母は一日だけなら気晴らしにもなるし、出てもいいのではないかと考えていたようだ。

そこで、父マウスキーに相談。速攻、却下されてしまった。

残念がった母マウスキーがその話をしていたので、マウスキーが名乗り出る事となった。

名乗り出た理由は勿論、Dさんのお店のハンバーグ弁当が美味しかったから。ただ、それだけの理由だった。

お弁当が美味しいならば、まかないだって美味しいに違いない。

しかも、たった一日だし、半分遊びに行って、美味しいごはんが食べられる。

こんなにいい話に名乗りを上げないなんて理由はない。

そんなわけで、マウスキーは本当に気軽な気持ちで、美味しいご飯につられて引き受けたのだった。

そして、夏の終わりの頃の木曜日、最初の出勤日に意気揚々と出かける事になったのである。