2017年12月4日月曜日

「鋼の錬金術師」の実写版の感想について

あまりトレンドな話題について書くのは好きではないが、色々と未消化な部分が多いので、あえてトレンド入りな話題をさせてもらう事にする。

※ちなみに、韓国旅行記は書く気になったら続きを書く予定である。

つい先日、公開したばかりの映画、実写版「鋼の錬金術師」だが、ネット上では何やら不評の雨あられのようだ。

マウスキーはそれらを見て、一体何を今さらそんなに「あれが違う」「これが違う」「色々と気にくわない」と文句を並べたてる必要があるのだろう? と、ほとほと困惑してしまった。

何故なら、そんなの最初から分かってた事だからだ。

予告編を観れば、ビジュアルがどうなのかも想像出来たであろうし、色々と無理がある事だって誰もが予測していた事ではないのだろうか?

そのためか、マウスキーは一欠けらたりとも映画に対しての怒りを感じる事はなかったのである。

むしろ、「絶対に史上最悪のものに決まってる! 進撃の○人の二の舞だ!」と決めてかかっていたので、意外と良いところを見る事が出来た。

例えば、演技が上手な役者さんが出てくると、空気がガラリと変わるし、やっぱり上手なのだという事が良く分かったと言える。

ラスト役の松雪康子も綺麗だったし、良かったんじゃないかと思った。

脚本が大急ぎな節があって、あっちもこっちも引っぱり出して貼り付けて何とか一つのストーリーにまとめた、なんて事は往々にしてよくある事ではないだろうか?

例えば、フランス映画で、ドストエフスキーの「悪霊」の実写化した映画だって、そんな感じだった。
しかし、長編小説をググッとコンパクトに1時間半以内にまとめようというんだから、ちょっとした不自然なところなどにはかまっていられない。
サクサクと切るものは切り、省くものは省き、決して立ち止まる事はしない。
そんな走馬燈のように過ぎ去っていく映像の中に、キラリと光る1シーンが今でも残っている。
そのシーンとは、若者たちが集まって議論をしているシーンであった。良かったのはそれだけであったが、そんな1シーンがあるだけでも、実写の価値があったのではないかと考える。

ロン・チェイニーの「オペラ座の怪人」だってそうだ。
途中まで順調に実写化していたのに、突如と尺合わせで大急ぎでストーリーがトントン進みだし、とにかく急いで急いで終わった脚本だったが、その見た目や、シーン、雰囲気なんかで過去の怪奇映画の中で名作として残っているではないか。

そう考えた時、果たして「鋼の錬金術師」の実写映画がそんなに「クソ」だのなんだの言うほどだっただろうかと思い直してもらいたい。

このシーンは良かった、この部分は良かった、そう一つでも思える映画だったとしたら、ひどく言う必要も、くさす必要もない。

この映画によって、入場者プレゼントの描きおろしマンガが登場したというのは嬉しい事の一つでだった。

衣装も悪くなくて、軍隊の軍服の質感は割と好きな質感だった。

そこで、気に入らないと思うところが出たとするならば、あとは好みの話だ。

映画を観た後のマウスキー個人の好みとしては、それなりに「あー、なるほどね。そうやってつなげたのか」とか、「スカーの存在がかなり物語に大事だと改めて知った」と原作の良さを思い返す事が出来たり、悪くはなかったと思う。

ただ、その中でもどうしても譲れない事──これも個人的な話だが、映画音楽の鳴らし方である。
大概の事は我慢しても、映画音楽だけは譲れない……基本的に、マウスキーは主張がうるさいBGMは嫌いだからだ。

悲しい時、感情が高ぶったシーンになると、これでもかと感動的BGMが音量大で流れはじめ、「感動するところです、ほら泣け、そら泣け」と、音楽で人の気持ちを左右しようとするアレである。

音楽が盛り上がれば、盛り上がるほど役者さんの演技は稚拙になり、音楽の主張が強ければ強いほど映像はチープになっていく。

アニメの「鋼の錬金術師」の音楽が良かったので、そこは期待していたのだが・・・そこが残念だった。

別に、後は別にそれなりに「なるほどね」と観る事が出来る部分だった。別に、エドの髪の色が金髪というよりも赤毛っぽかったりしても、何て事はない。
CGが「CGです」と見える瞬間、「勇者ヨシ〇コシリーズ」を思い出してしまいそうなシュールな瞬間があったとしても、にやにやしながら見ていられる。

だが、とにかく最初から最後まで殆ど音楽が流れていて、ここぞという感動的なシーンにさしかかった時に、後ろの方でこっそり流れていた音楽が「ここだぁぁぁ!!」としゃしゃり出て来るという、そんな習性が最初から最後まである映画は我慢が出来ない。

いや、むしろ、怒りすら感じる。

あと少し、数秒だけそっとしておいてあげたら、涙も引いて立ち直れそうな人間の前に飛び出してきて、「みんなで彼の気持ちを分かってあげて!!」と喚き散らしてくる無神経な人間すら連想出来る。

観客に全てを委ねきらず、音楽によって感動を誘導するほど観客が信用できないという姿勢が好きじゃない。

ピーター・ジャクソン監督も言っていたではないか。感情が高ぶった時は、音楽を抑えるべきだと。

マウスキーの感想といえば、そんなところだった。

あと、後編があるとしたら、微妙に「えー、そうなのか・・・後編ってどうやって最後まで持たせるんだろう」と、不思議に思って、ちょっと気になるような作りにはなっていたと思う。

このように、人の感想とは十人十色なので、とても気になる人は、直接自分で観て、自分の評価を大事にすべきだと、マウスキーは強く思った次第である。