2018年10月1日月曜日

PLATFORM・3~ 最初の出勤日-part.2

12時になっても、そんなに人は来なかった。

お弁当を購入に来る人も、そんなにいなかった。

このお店は市役所が近いので、どうやら市役所の常連さんがよく通っているようだ。

そして、そんな常連さんらしき人が来るたびに、「今日から働いてもらう事になってマウスキーさん」と、紹介されて、「よろしくお願いします」と挨拶をしたりもした。

そして、特に問題もなく、ピーク時間の30分は終了。

12時半をもって、店のする事は大体片付けくらいだと宣告される事となった。

お客が帰ると、早速Dさんは新聞を読んだり、スマホのチェックなどで忙しくしはじめた。

もちろん、洗い物もそんな大した量にはならないのだが…残った15食分ぐらいの御膳に詰めた惣菜を抜いて、御膳を洗うという作業が残っていた。

とりあえず、「ごはんにしましょう」と、オーナーのMさんとDさんが声をかけてくれたため、三人揃って、のんびりと昼ご飯を食べる事となった。

やはり、ハンバーグが美味しい!(この日の日替わりはハンバーグだった)

働きに来て良かった……マウスキーは至福な気持ちでいっぱいになった。

そして、食べ終わった後は、後片付けだ。

ところが、Dさんはカウンターを立つ気配がない。

どうも疲れているようだ。

そして、オーナーのMさんに、日ごろの不満やらの愚痴をこぼしたりし始めた。

「Nさんのする事が気に入らない! 勝手な事する!」

そんな感じの内容だった。

Nさんと言えば、午前中に少しだけ挨拶していた、ひょろっと背の高い年配の女性の事である。

どうやら、彼女がレシピを守らずに勝手な味付けをするという問題について、二人で話をしていたようだ。

Nさんは、ご主人が高血圧らしく、減塩料理を得意としていたらしい。
だから、お店に出てきても、レシピに書いてあるものは「塩分が高い」という事で、レシピを無視して塩抜き料理にしてしまう、というような事であった。

店のレシピを無視した料理を出すなんて、そんな事があるんだろうか? 

益々とマウスキーは不思議な気持ちでいっぱいとなった。

そして、Dさんはご飯を食べると、勤務時間が終わったらしく、帰って行った。

そして、マウスキーと二人きりになった後、オーナーのMさんが仕事についての雇用条件をあらためて説明してくれた。(面接とか全くなかったため、本当によく分からない感じでハンバーグだけ目当てにして働いていたようなものだった)。

時給は700円。
勤務時間は11時から16時。

まかない代と休憩時間を含め、1時間は時給が発生しない。

従って、5時間勤務というところ、4時間勤務という形態になる。

そして、「殆どお金にならないですが、良いですか?」と、Mさんに念をおされた。

お金にはならない、確かにならないが、笛のレッスン代は出せるし…ごはんは美味しいし、何よりも楽そうだ、そうマウスキーは考えた。

元々美味しいハンバーグを食べようと思って気晴らしに来ていたので、お金の事は気にしていなかった。

飲食店と思えないほどの、ゆる過ぎる環境に、大変好奇心を掻き立てられたのである。

そして、帰り間際に店にひょっこりやって来た、NPO法人の人で、常連客でもあるM・Iさんという男の人にも「よろしくお願いします」とかの挨拶をして、片づけも終わり、初日の仕事は平和に楽しく終える事が出来た。

一週間後の勤務を、楽しみに思った程だった。

2018年9月30日日曜日

PLATFORM・2 ~ 最初の出勤日-part.1

出勤日初日である。

場所が大変分かりにくいという事と、最初は母マウスキーに声がかかっていた仕事なので、母マウスキーに仕事場まで連れて行ってもらった。

確かに、うっかりしていたら見落としてしまいそうな、建物の隙間にこじんまりと佇んでいる、という感じのお店であった。

定食やお弁当を売っているという風には見えない、喫茶店風な内装の店内であった。

早速、人見知りのマウスキーは、仕事場に行くと必ずやる、元気な挨拶というやつをした。

「今日から働かせていただく事になりました。マウスキーです。よろしくお願いします!」

ま、バイトの挨拶なんて、そんなものである。

とりあえず、その日店内にいた人物は、働かないかと声をかけてくれたDさん。




そして、お初目にかかる、Nさん。



そして、オーナーのMさん。



オーナーが若い女性とは想像していなかったため、正直言って、かなり警戒してしまった。

マウスキーは若い女性が大変苦手なのだ。

だが、仕事を始めれば、人間関係の事なんか二の次だろう。

そんなわけで、最初にお弁当を詰めるという仕事から教えてもらう事となった。

……なったのだが、その光景は想像していたよりも凄いものだった。

まず、Dさんが、カウンターの椅子に座りながら、「玉子焼きの数が一個足りんで」と言い出したのである。

「足りんだったら、大きい玉子焼きを二つに切ったらいいが」と、オーナーのMさん。

そんなわけで、カウンターの椅子に座りながら、Dさんは元々詰めてあった、大き目の玉子焼きを二つに切り分けはじめた。

まぁ、まぁ、確かに、平均年齢が60~70歳代という仕事場なのだし、ほっ○亭(マウスキーの最初のバイト先)のように、システム的な仕事をするわけはないだろう。

玉子焼き問題が解決した後は、お弁当と定食を詰めていく作業も順調に終わった。

一日に用意するものは、日替わり弁当を10個、定食を12食分だそうだ。

なんて楽な仕事場!

ほっ○亭なんて10個×10セットを作って用意するなんて、当然の事だったというのに!

しかし、気になるのは売上の方だ。

日替わり弁当は、500円。

日替わり定食は、600円。

どちらも税込みである。

計算してみると、500円×10個=5000円。600円×12個=7200円。

つまり、全部売り切れた場合の売り上げが12,200円という事である。

そこのお店は、NPO法人であるという事も聞いていたので、もしかすると、売り上げを出してはいけない取り決めでもあるのだろうか、そんな風に解釈した。

ところで、仕事が始まる前に、オーナーのMさんから注意を受けるというシーンもあった。

若い女の人なので、どんな仕事の説明なのか緊張して聞いていたところ、こういうことだった。

「スマホは持っててもいいですよ。ただし、12時から12時半はピークなので、その間は絶対にスマホをいじらないでください」

聞き間違いじゃないかと耳を疑った。

12時から12時半がピークって、ピークが30分しかない、という事と、スマホを持っていて、仕事中につっついても可能だという事、色々な事に驚きと衝撃を受けてしまった。

いや、想像以上にゆるい仕事場だ…と思っていた矢先である。

疲れたと言い出したDさん。

カウンターの椅子に腰かけて一休憩をはじめてしまった。



そして、スマホをつつき始めるDさん。

ちなみに、Nさんは午前中で帰ってしまったので、イマイチどういう方なのかは分からないままであった。

そして、迎えたピークだと聞いていた12時になった。

つづく。