12時になっても、そんなに人は来なかった。
お弁当を購入に来る人も、そんなにいなかった。
このお店は市役所が近いので、どうやら市役所の常連さんがよく通っているようだ。
そして、そんな常連さんらしき人が来るたびに、「今日から働いてもらう事になってマウスキーさん」と、紹介されて、「よろしくお願いします」と挨拶をしたりもした。
そして、特に問題もなく、ピーク時間の30分は終了。
12時半をもって、店のする事は大体片付けくらいだと宣告される事となった。
お客が帰ると、早速Dさんは新聞を読んだり、スマホのチェックなどで忙しくしはじめた。
もちろん、洗い物もそんな大した量にはならないのだが…残った15食分ぐらいの御膳に詰めた惣菜を抜いて、御膳を洗うという作業が残っていた。
とりあえず、「ごはんにしましょう」と、オーナーのMさんとDさんが声をかけてくれたため、三人揃って、のんびりと昼ご飯を食べる事となった。
やはり、ハンバーグが美味しい!(この日の日替わりはハンバーグだった)
働きに来て良かった……マウスキーは至福な気持ちでいっぱいになった。
そして、食べ終わった後は、後片付けだ。
ところが、Dさんはカウンターを立つ気配がない。
どうも疲れているようだ。
そして、オーナーのMさんに、日ごろの不満やらの愚痴をこぼしたりし始めた。
「Nさんのする事が気に入らない! 勝手な事する!」
そんな感じの内容だった。
Nさんと言えば、午前中に少しだけ挨拶していた、ひょろっと背の高い年配の女性の事である。
どうやら、彼女がレシピを守らずに勝手な味付けをするという問題について、二人で話をしていたようだ。
Nさんは、ご主人が高血圧らしく、減塩料理を得意としていたらしい。
だから、お店に出てきても、レシピに書いてあるものは「塩分が高い」という事で、レシピを無視して塩抜き料理にしてしまう、というような事であった。
店のレシピを無視した料理を出すなんて、そんな事があるんだろうか?
益々とマウスキーは不思議な気持ちでいっぱいとなった。
そして、Dさんはご飯を食べると、勤務時間が終わったらしく、帰って行った。
そして、マウスキーと二人きりになった後、オーナーのMさんが仕事についての雇用条件をあらためて説明してくれた。(面接とか全くなかったため、本当によく分からない感じでハンバーグだけ目当てにして働いていたようなものだった)。
時給は700円。
勤務時間は11時から16時。
まかない代と休憩時間を含め、1時間は時給が発生しない。
従って、5時間勤務というところ、4時間勤務という形態になる。
そして、「殆どお金にならないですが、良いですか?」と、Mさんに念をおされた。
お金にはならない、確かにならないが、笛のレッスン代は出せるし…ごはんは美味しいし、何よりも楽そうだ、そうマウスキーは考えた。
元々美味しいハンバーグを食べようと思って気晴らしに来ていたので、お金の事は気にしていなかった。
飲食店と思えないほどの、ゆる過ぎる環境に、大変好奇心を掻き立てられたのである。
そして、帰り間際に店にひょっこりやって来た、NPO法人の人で、常連客でもあるM・Iさんという男の人にも「よろしくお願いします」とかの挨拶をして、片づけも終わり、初日の仕事は平和に楽しく終える事が出来た。
一週間後の勤務を、楽しみに思った程だった。
2018年10月1日月曜日
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