Dさんショックなどで、色々とバタバタしたものの、レッスンは二カ月前からの予約が必要だったので、とりあえず、目下はレッスンに行く事だけを考えていた。
今回、マウスキーと姉マウスキーが2人でティン・ホイッスルというアイルランドの笛を習いに行く先生は、hatao先生という、演奏者としても、ケルト音楽の伝道者としても、指導者としても力を注いでおられる方だった。
hatao先生は、とりとり市の隣の県に住んでおられるという事がホームページで分かり、しかも個人レッスンもしているという事だったので、マウスキーと姉マウスキーは、一日レッスンを申し込む事にしたのである。
教科書も、笛も買い揃え、レッスンに挑む事にしたマウスキー達。
とりあえず、先生にお土産も持って行かなければならないだろう、そう思って、とりとり市の名産品をあれこれと持参して行く事にした。
選んだのは、「因幡の白兎」と、「蟹煎餅」と、「お茶漬けの素」である。
蟹の姿焼きみたいな煎餅にしたかったのが本音だが、姉マウスキーの強い反対を受けた為、結局断念した。
ちなみに、hatao先生とは、とても親切丁寧な方で、レッスンを申し込んだ後に、住宅は大変分かりにくいところにあるという説明文と共に、地図と、電話番号も添えて下さっていた。
分からなくなったら、連絡してくれ、と、書いてあったのだ。
この気配り、心配り、何ていい人なんだ…と、すっかりマウスキー達は感動してしまった。
そして、レッスン当日。
この日、マウスキーはお店を休んでレッスンに行く事にした(Mさんは理由を知っても普通に、問題なく休ませてくれたのだ)。
バスに乗って2時間半ほど経つと、辺鄙な、何もないバス停に到着した。
そう、そこが目的地だった。
高速道路から降りたらすぐにある、何もない、ポツンと佇むバスステーションに降ろされたマウスキー達。
目の前に広がる、四車線の大道路。
電話もない。
何にもない。
他県からフラリと土産袋を抱えてやって来た孤独感だけが、マウスキー達の胸に押し寄せた。
こんな何もないところに降ろされ、無事にマウスキー達は、定刻通りにhatao先生の元へ辿り着く事が出来るのだろうか……
そして、マウスキー達は不安と共に、四車線大道路の遥か遠くにある駅を目指して、バス停を後にする事に決めた。
この第一歩が、想像以上に恐ろしいものになるとは考えもしなかったのであった。
0 件のコメント:
コメントを投稿