実のところ、このお昼ごはんについてはリサーチ済のマウスキー姉妹であった。
レッスンに行く前に、hatao先生のレッスンを受けてきた事がある人のブログを読んで予習していたのだ。
ちなみに、その人の文面から、これほどまでに一日集中レッスンがこれ程までにハードなものだとは想像もつかなかったのだが。
その人は、お昼ごはんはhatao先生が作ってくれたと、大層嬉しそうに語っていた。
しかも、大変美味しい食事だったとか・・・。
ところが、実際に本人を目の前にして、「先生に作ってもらおうと思って来ました!」などと言えるであろうか。
「えーと、適当に食べてきます」と、言って、お昼休憩の間はどこかに出かけて食べて来るのが礼儀ではないか・・・などと、一瞬の内に考えを巡らせた。
「実はインターネットでhatao先生が食事を作ってくれたというブログを見て、楽しみにして来ました」
そう恥ずかしげもなく言い放ったのは、姉マウスキーであった。
嘘だろ? この状況でなんの遠慮もなく、そんな言葉を見ず知らずの先生に言えるなんて、どんな神経しているんだ!
きっと、先生は呆れ果て、もう何も言わない事にしよう、礼儀知らずの田舎者が──と、随分気を悪くされるかもしれないじゃないか!
そう危惧したのだが、実際はそれほど先生は気分を害した様子もなかった。
「もちろんいいですよ」と、快く我々見ず知らずの姉妹にもご飯を作ってくれる事になった。
レッスンもしてもらい、食事をルンペンさせてもらうなんて・・・申し訳ないが、美味しい食事だったと言っていたので、随分と美味しいごはんなのだろう。
「せっかくなので、持ってきていただいたお茶漬けもいただきましょう」と、hatao先生の提案。
「いやいや、お土産を我々がいただくなんて・・・」と、言いながら、一緒にお茶漬けを食べる事になった。
あと、汁物とおかず。
その日のメニュー。
一汁一菜、玄米ごはん
デザートはリンゴ。
美味しい!・・・美味しいけど・・・足りない・・・ものすごく足りなかった。
確か、この食事時間の間、ウサギさんについて、我々のペットについて、それぞれのペット自慢をしたり、hatao先生の好きな音楽についても会話したと思うのだが、圧倒的な食事量の少なさが一番のインパクトとして残ってしまったため・・・申し訳ないのだが、詳細には記憶していない。
しかしながら、せっかく我儘を言って作っていただいたご飯が少ないなんて、絶対に悟られてはいけない。
「とても美味しかったです、ちょうど良い量でした」
ちゃんとそのように言う常識くらい、我々マウスキー姉妹は持っていたのである。
楽しい食事時間が終わりを迎えようとしていた時、hatao先生と同居をしている男の人が帰宅してきた。
ギターが堪能で、笛まで出来るという人だった。
「そんなに出来ませんよ」とか言っていたが、あれは謙遜に違いない。
その時、レッスンに来る生徒さんは久しぶりだ、などという会話もしていた。
先生がテレビで出演した頃は、わんさかと生徒さんが盛りだくさんに来訪されたそうなのだが、若い人が来る事は少ない事例だ──的な内容だった。
先生と年の差が大してあるわけでもないのに「若い人」という単語を受け入れるには抵抗はあったが、きっと「高齢の方」と比較しているのだろうから、それも間違いではない。
我々はまだ、赤いちゃんちゃんこを着るまでには年数がある。
そんな風に楽しいお昼休憩は終了した。
ところが、この時点で恐ろしい事が起こっていた。
午前中の集中レッスンから、すでに集中力が散漫になりはじめていたのだ。
まだ先は長いというのに、もはや疲労の兆しが見え、とりあえず一通りの奏法を学んで帰れるのだろうかと心配になってきた。
だが、容赦なく、一日集中レッスンは継続した。
つづく。
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