何となく頼りなさそうなサービスカウンターのお姉さんは、「どんな財布ですか?」と尋ねてきた。
「黄色い財布です」と、母マウスキー。
「金色の財布なら届けられていますけれど、黄色の財布はありません」と、サービスカウンタのお姉さんは答えた。
しかし、母マウスキーはどうしても納得がいかないらしく、その「金色の財布」の現物を見なければ納得できない様子だったのである。
つまり、サービスカウンターのお姉さんが、黄色を金色だと言っている可能性を考えたに違いない。
あまりにも母マウスキーが粘るので、やっとの事でサービスカウンターのお姉さんが財布を見せてくれた。
それは、人口レザーっぽい母マウスキーの黄色い長財布とは似ても似つかない、ビニール製のポーチ型の金色財布が出てきたのである。
現物を見た途端、一瞬で諦めた母マウスキー。
もう、財布を届けられる事もなく、誰かに盗られてしまったに違いない・・・。
千数百円といえど、その日の買い物の足しにはなる額である。
どこかの誰かに盗られたか、悪ノリした高校生に盗られたかして、個人情報もハッキングの材料とされるに違いない・・・。
そして、絶望に暮れた母マウスキーは「財布がない」と気づいた数時間後に、警察署へ届け出に行ったのである。
つづく
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