そこで、今回は全員がチケットを滞りなく購入している様子を見てから、購入する事にしたのである。
ソウルの地下鉄は路線が分かりやすかった事と、チケット販売機も分かりやすい、というか、日本語の説明も書いていてくれる親切丁寧だったという事から、予想以上にスムーズに地下鉄の切符を手に入れる事が出来た。
こんなに滞りなく初日の海外で地下鉄を利用出来るとは思いもよらなかったほどだ。
先にチケットを購入した姉マウスキーとTさんとmarikyoさんのところに合流して、早速先に向かいかけた、その時である。
何か事件が起こったのか?──と、思うほど、その場は大勢の韓国人の人達が大声で騒ぎ出したので、一気に騒然とした雰囲気に包まれた。
何か起こったのだろうか?と、思って振り向くと、どうやらマウスキーがチケットを購入していた機械に並んでいた人たちが、こちらを向いて、これでもかと大声を張り上げて騒いでいるのである。
一体、何をしでかしたのだろう?──
もしかすると、マウスキーの機械操作でエラーが起こり、みんなは「なんてことしたんだ、この野郎」というようにバッシングをしているのだろうか?
呆然とマウスキーが彼らを見ていると、すぐ真後ろに並んでいた韓国人の女性が、怒ったような様子で勢い良く、真っ直ぐにこちらへとやって来た。
一体、何を叱られるのだろうかと様子を見ていると、女の人はマウスキーの腕を掴むと、無理矢理チケット販売機の前に引っ張って行ったのである。
引っ張られている間、マウスキーは「何かしました? トラブルありました?」と、日本語で問いかけてわずかに抵抗したのだが、結局大勢の前に連れて行かれてしまったのだった・・・。
そして、女の人は大声で叫びながら、チケット販売機のおつりが出るところを指差し、おつりのところにある釣り銭らしき小銭を掴むと、マウスキーの手に釣り銭を置いてくれたのである。
どうやら、怒られていたわけではなく、大勢で「釣り銭を忘れているよ!」と、親切に叫んでくれていたらしい事が発覚・・・。
完全に怒っているように見えたので、鬼だと思っていた人が、実は天使だったという、そんなドラマを一瞬の内に見たような気持ちになった。
マウスキーは、下手くそな韓国語で「ありがとうございました」と再々お礼を言い、小さくなって3人が待つ場所へと急いで戻った。
いや、でも、わずかな小銭であれだけ大騒ぎして、外国人の手を引っ張って釣り銭を渡してくれるというのは、かなり親切な人たちだった、そう思う。
様子を見ていたTさんも、「親切だな」と、コメントをしていたほど、大勢が釣り銭を忘れたマウスキーに親身になってくれていたようだ。
ただ・・・日本人は、シャイなんだ・・・。
本当に心の底から嬉しかったし、有難いのだけれど、何故だか穴があったら入りたいほど恥ずかしい気持ちを覚えたマウスキーは、明洞に到着するまで小さくなってしまったのだった。
そして、明洞に到着後──とうとう、トッポッキを求めて我々4人は歩みだした。
つづく。
0 件のコメント:
コメントを投稿