2017年4月3日月曜日

サンタクロースは、いるんです。

どこの家庭もそうかもしれないが、サンタクロースを子供に信じさせる事に親たちは苦労するものかもしれない。

マウスキー家の場合も、例外ではなかったようだ。

まず、父マウスキーの作戦としては、子供のマウスキー姉妹がサンタクロースの正体を突き止めようとする好奇心を奪う事から始めたようだ。

子供の頃に、よく聞かされた話は、「サンタクロースを見ようとして視力を失った女の子」という話だ。

物語は、父マウスキーが子供の頃の実体験として語られた。

近所に住む女の子が、サンタクロースを見たいがために、夜更かしをしていたらしい。

そして、0時きっかりに、サンタクロースがやって来たのだが、サンタクロースは煙突から入ってきたり、窓から入ってきたりするものではなかったらしい。

そして、プレゼントが置かれた気配に我慢が出来なくなった女の子は、パッと目を開けてサンタクロースを見ようとしてしまった──。

その瞬間、彼女は今まだ体験した事がないほどの眩い光を目にしてしまったのである。

あまりにも眩しすぎた彼女は、すっかり視力を失ってしまったそうだ。

ただ、サンタクロースは、絵で見たり、人が思い描いているような姿をしているわけではなかったらしい。

姿形もなかったという。

確かに、世界中の子供たちにプレゼントを届けるのだから、サンタクロースはそもそも、肉体や時間を超えた四次元以上の存在であるというわけだ。

そして、好奇心に負けた少女は、好奇心が故に今も視力が戻らない状態となってしまったらしい・・・・。


はい、小さなマウスキーは、父マウスキーの実話らしき話をすっかり信じ込んでしまいました。

むしろ、24日は、絶対に0時までには寝なければならないという恐怖すらも抱くようになった。

サンタクロースがやって来る、その瞬間が恐くてたまらない、23時30分に目が覚めようものなら、恐怖のあまり、目を閉じて布団に潜り込み、気が付きたくないと念じ続けたほど、恐ろしい存在ともなっていた。

お陰で、父マウスキーも母マウスキーも、楽々とプレゼントを置きに来る事が出来たというわけだ。

しかし、小学校5年生になった時、マウスキーは遂に、母マウスキーが枕元にプレゼントを置きに来たところを目撃してしまったのである。

そのショックたるや、如何ばかりだったか・・・今まで、両親に騙されていたのではないだろうか?・・・そんな気持ちでいっぱいになった。

そういうわけで、早速翌朝、マウスキーはプレゼントを持って来てもらったくせに、父マウスキーにこれでもかと抗議をした。

「プレゼントを持って来たのを、この目でしっかりと見た」──と。

すると、余裕顔で聞いていた父マウスキーは、堂々と返答しはじめた。

「そうだろう。実は、これだけは言いたくなかったが、サンタクロースから、『今年はマウスキーと姉マウスキーは、不登校などで悪い子だったので、プレゼントを持って行ってあげられない』と、連絡が入った」と、言うのである。

そんな嘘が通じるものか!

マウスキーは猛烈に「嘘だ」と言ったのだが、父マウスキーはため息をつくと、証拠を持って来ると言い、部屋を退室した。

そして、戻ってきた父マウスキーは、手紙を手にしており、マウスキーに見せてくれた。

そこには、見ても分からないような英語が長々と書かれており、署名にはちゃんと「サンタクロース」と書いてあった。

「読めない」と、マウスキーは言ったのだが、父マウスキーは「そうだろうな。サンタクロースは外国人だから、外国語で手紙を書くんだ」と、コメント。

何故、父マウスキーが読めるかと言うと、ちゃんと言葉を勉強したからだと言う。

証拠まで見せられ、マウスキーも確かに心に疚しいところもあったので、その事実を信じる他なかった。

さらに、父マウスキーは「親心として、プレゼントがないと可哀想だと思い、プレゼントを用意したのに。要らないなら、仕方がない」とまで、極め付けに言ったのだ。

いや、疑ったマウスキーが悪かった。

心底そう思い、サンタクロースはやっぱりいるんだと納得した。

自分に非があるにも関わらず、親心を疑うとは、なんという罰当たりなんだ──と、反省もした。

そして、そんな体験談を自慢げに小学校で喋りまわっていた、恥ずかしい黒歴史・・・。

過ぎてみた今現在でも、サンタクロースはいないとは思わない。

信じる、信じないとは別として、その形式も違ったとしても、両親の一生懸命な想いこそがサンタクロースなんだと、そう思っている。

そのため、マウスキーもいつか子が出来たら、全力を尽くしてサンタクロースになろうと固く決意した。

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