もちろん、共催して下さる事になった、鳥取バロックアンサンブルの皆様方にも、「あいつ等とは二度と一緒に何もしたくない!」などと、不愉快な事があってはならないようにと、考えていた。
積志リコーダーカルテットがとりとり大学に到着したのは、夕方頃の事だった。
Tomokoさんに呼ばれ、マウスキーも挨拶に行かなければならないようであった。
憧れの積志リコーダーカルテット様とはいえ、相手は人である。
人見知りのマウスキーとしては、かなり緊張する瞬間だったが、会長と呼ばれている以上は、周囲を困らせる事があってはならないと、Tomokoさんの後に続いてお出迎えに出かけた。
お出迎えに参上した時、積志リコーダーカルテットの皆様方は、とりとり大学で宿泊出来る施設があるので、そこでチェックインしている時だった。
Tomokoさんはロビーに入るやいなや、その場に土下座。
マウスキーもぼーっとしながらTomokoさんに合わせて床に座り、「どうもこんにちは」と、挨拶をした。
すると、Tomokoさんは間髪入れず、マウスキーの目の前に座っている積志リコーダーカルテットのメンバーを示し、「この方が曽根様だで!」と厳しく注意をしてきた。
突然、「会長です」と紹介されながら叱られたマウスキーは、急いで深々と土下座をしながら、Tomokoさんと共に「ようこそ、いらっしゃいました! とりとり市に来ていただいて、感激雨あられです!」のような感じで挨拶を改めた。
もちろん、曽根さんもとても親切で良い人だった。
「そんなに改まらなくていいよ」と言ってくださったので、「そうか」とマウスキーは思ったのだが、Tomokoさんは「いえいえ」と、まだまだ姿勢を低くしていた。
そのまま、我ら二人は床に座っていたのだが、宿泊施設の説明を受け終わった、積志リコーダーカルテットのメンバーの徳永さんが椅子に座り、会話に加わってきた。
そして、「本当にこのプロジェクトを実現させるなんて、彼女(Tomokoさん)は凄いよ!」と褒めて下さった。
Tomokoさんは「いいえ、いいえ」と床にのめり込みそうになりながら謙遜していたが、マウスキーは大きく「うんうん」と頷いて同意した。
メンバーが積志リコーダーカルテット様にこれほど褒められているとは、これほど栄誉な事が笛の会にとってもあるだろうか?
しかも、人の見知りのマウスキーに代わり、殆ど積志リコーダーカルテット様と話をして、接待してくれていたのだ。
マウスキーは黙って、にこにこしていて、その場も全部Tomokoさんに任せていた。
なんて頼もしい友人だろう!
とりあえずの挨拶が終わり、失態を見せる事なく、我らはいったん準備のためにその場を後にした。
実は、時間の関係で、今回のコンサートは打ち上げはない代わりに、前日に懇親会をする事になっていた。
そのため、時間になった時に再び積志さん一行を呼びに行く事になった。
しかし、思わぬ事態になった。
Tomokoさんは、色々と用事があって忙しいらしく、積志さんの出迎えにはマウスキー一人が行かなければならなくなってしまったのである。
問題ない、これでも営業マンのタマゴのタマゴだ。
タマゴのタマゴである営業マンの底意地を見せる時だ!!
様々な格言をいくつか思い出して、自分を奮い立たせると、マウスキーはたった1人で積志リコーダーカルテットの方々の元へと出陣を開始した。
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